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フィルムアーカイブ物語

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フィルムアーカイブ物語

韓国映像資料院のフィルムアーキビストによる【フィルムストーリー叢書08】『フィルムアーカイブ物語』(発行 2009年11月)の日本語版です。翻訳・掲載を快諾してくださった著者のオ・ソンチさんに心より感謝いたします。
Sungji OH. Stories of the Film Archives. KOREAN FILM ARCHIVE, 2009.−翻訳:李東真(中央大学大学院 文学研究科 社会情報学専攻 博士後期課程)

初めてフィルムアーカイブ、フィルムアーキビストという言葉に接したとき、私はそれがどういうものであるのか気になった。ジョージ・イーストマン・ハウスのフィルム収蔵庫で、35mm幅の映画フィルムが少し酸っぱい臭いを放ちながら「私はここよ」と囁いたとき、私は一瞬にしてその呪文にかかってしまった。果てしない好奇心と避けることのできない映画フィルムの誘惑、そして先生方の情熱的な教えによって、私はフィルムアーキビストと呼べるまでに成長したのだ。

まえがき

「フィルムストーリー叢書」とは、さまざまな主題の映画、知識、情報をよりわかり易く伝えるため、韓国映像資料院が2007年から発刊しているポケットブックシリーズで、初版である《韓国映画史》を筆頭に7冊が刊行されました。そしてここに、さらに2冊をその目録に加えます。

 叢書の8冊目となる《フィルムアーカイブ物語》は、映画フィルムの魅力にはまり、フィルムアーキビストの道を歩むこととなった韓国映像資料院のプログラムチーム長、オ・ソンチ(呉聖智)の経験談を通じて、フィルムアーカイブに関する豊富な知識と情報をリアルに伝えます。映画フィルムとフィルムアーカイブに関心を持つ方のために、適切な案内書となるでしょう。

 9冊目、《映画帝国 申フィルム ―朝鮮映画会社化に向けた夢と挫折》[*未訳]は、朝鮮映画史の中でも重要な映画会社の一つであった「申フィルム」の勃興と衰退過程を掘り下げることによって、朝鮮映画史における映画外車の意味と歴史を垣間見るという試みです。

 「フィルムストーリー叢書」は韓国映画、そして韓国映画史のさまざまな主題を、各著者の個性的で自由奔放な形式を込めて、ポケットブック1冊ごとに出すこととなります。これから先、叢書が漸次目録を増やしながら、まるでモザイクのような、精巧なディテール、豊富な解釈とともに韓国映画史の大きな画を完成させていく所存です。

−2009年11月 韓国映像資料院 院長 イ・ビョンフン

【韓国映像資料院(KOFA)紹介】

韓国映像資料院(KOFA)は貴重な文化遺産である映像資料を、国家的な次元で収集・
保存する韓国唯一の機関として1974年に設立されました。

KOFAは、私たちの映像文化遺産を最適な環境で保存・復元し、後代に永久に伝えるための
基盤づくりに全力をあげ、多くの国民が映像文化を積極的に享受できるよう、1991年からシネマテーク運動を始め、今日に至ります。そのほかにも、韓国映画史の過去と現在を一目で理解
できる「映画博物館」、映像資料を先端技術の環境下で便利に鑑賞できる「映画資料室」を運営
しております。また、新たなデジタル時代を迎え、デジタル映像資料の収集、デジタル技術を
利用した復元、アナログ資料等のデジタルアーカイブ化といった事業を遂行しており、映画史
研究及び出版事業を通じた韓国映画研究の普及に努めています。

著者紹介−
1990年、成均館大学校(韓国)薬学科を卒業後、テンプル大学(米国)にて政治学を専攻し
学士号を取得。同大学大学院にて修士号を取得。2001年ジョージ・イーストマン・ハウスの
L. ジェフリー・セルズニック映画保存学校(米国)でフィルムアーカイブについて学んだ後、2002年9月から現在まで韓国映像資料院に勤務している。中央大学校(韓国)先端映像大学院
にて博士課程を修了、2007年11月からプログラム長として韓国映像資料院にてキュレーション
とシネマテークのプログラミングを担当している。

フィルムアーカイブ物語 目次

序文

第一章 フィルムアーカイブ小史
 1. 最初のフィルムアーカイブ ビッグ4
 2. 国際フィルムアーカイブ連盟:FIAF

第二章 映画フィルム
 3. ナイトレート・フィルムを取り巻く様々な噂
 4. 物質としての映画フィルム
 5. 映画フィルムの上でちらつく何か

第三章 痕跡もしくは破片を求めて
 6. ジグソーパズル
 7. 短命映画規格の保存学的研究
 8. 映画の考古学:痕跡を求めトリノへ

第四章 『その顔は過去に向いている』—『根源を目指して』
 9. FIAFブエノスアイレス会議参加記
 10. ボン無声映画祭参観記
 11. 原初的映画:ルクセンブルクのクレイジーなシネマトグラフ
 12. パブストの1925年作『喜びなき街』復元物語
 13. 幼い頃私を魅了した彼女たちとの遭遇
 14. 幼い頃の映画遊びをテンプルホールで

第五章 フィルムアーキビストもしくはキーパー
 15. Old & Wise
 16. Young & Innocent

第六章 韓国映像資料院で働く
 17. フィルムアーキビストになる
 18. 私の夢をポケットに詰め込んで

付録
1. 用語整理
2. フィルムアーカイブ関連書籍
3. 主要フィルムアーカイブ目録

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今後のイベント情報

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東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)会議
04/16
国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)会議
04/10
オーファンフィルム・シンポジウム
11/30
東京現像所 全事業終了
10/27
日韓映写技師会議 in 福岡

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