ホームムービーの被害にどう対処するか
2005/8/29 | filmpres | trackbackハリケーン救援
洪水の被害を受けたフィルムにすべきこと
万一フィルムが洪水の被害をうけたら、できるだけはやい時期にフィルムアーカイヴか現像所に連絡して、今後の処置についてアドバイスを受けてください。フィルム素材の安定性に影響を及ぼす要因は様々であり、そして状況もそれぞれ違います。以下の提案は一般的なアドバイスであり、特定の状況に適するものではありません
- 安全が確認される前に被災地に入るなどという危険を冒してはなりません。確かにフィルムも重要ですが、あなたの生命や健康はそれ以上にずっと大切なものです。
- 安全が確認できたら、すみやかにフィルムを探してください。濡れてしまったフィルムは他のどんなメディアよりも急速に劣化する可能性があります。
- 以下の手順、またはフィルムアーカイヴや現像所の指示に従って、フィルムの損傷を最小限に食い止めてください。自分ですることは単純化して、あまり手をかけすぎないようにしましょう。つまり、とりあえずフィルムの安全を確認し、実際の救済と保存の仕事は経験のある人に任せるというわけです。
- まずは思い入れが深いフィルムを優先的に扱ってください。ホームムービーはかけがえのないものですが、商業映画とは違います。ラべルやフィルム缶に書かれた情報を参照すれば、どのフィルムを一番大切に救うべきか、選択することができるでしょう。
- フィルムは大切に扱ってください。濡れてしまったフィルムは、とても脆くなっていますので、とくに注意してください。内容を確認するためとはいえ、フィルムをリールから引き出してはいけません。何のフィルムなのかはっきりしない場合は、想像で補ってください。この時点でフィルムを引き出してしまうと、ほぼ確実に後の損傷の原因となります。
- 乾いているフィルム、つまり濡れていないフィルムをわざわざ水に浸すことはありません。フィルムが傷んでしまいます。涼しくて清潔で安全な場所、例えばプラスチックの袋に入れて、冷蔵庫に保管するなどしてください。直射日光の当たる所は避けて、できれば日陰で、風が入るところや通気性のよいところが望ましいです。そうすることで必要以上の乾燥を防ぐことができます。そして素早く現像所に送って検査を依頼してください。フィルムを袋に入れて何週間も冷蔵庫に放置しないでください。洪水を被った地域のフィルムはどれも湿気からくる被害を受けています。
- 濡れているフィルムは濡れたままにしておいてください。フィルムを守るにはこれが最善の方法となります。濡れたまま、清潔で、涼しく、安全で、障害物のないところに置きます。同じ容器の中にフィルムを複数入れてもかまいません。水はできれば蒸留水/冷水を使ってください。なければ冷たい水道水かボトルに入った水で代用してください。それもなければ、手に入るできる限りの冷たい水を使ってください。フィルムの全体が水に浸かっているか確認し、必要に応じて水を容器に注ぎ足してください。できれば水は毎日(それが無理でもできる限り頻繁に)取り替えてください。フィルムをかき乱さないようにしてください。とにかく濡れたフィルムはとてもデリケートなのです!
- 数日以内にフィルムの処置ができるなら、ケースの中に入れたままにしておいてください。容器は全て濡れた布で周りや上部を覆えば、フィルムを冷たく保てるでしょう。バケツ一杯の清潔な水をフィルムに近い涼しい場所に蓄えておいてください。そうすれば容器に水を注ぎ足すことができます。容器はプラスチック製のタッパーのような、ふたがしっかり閉まるものがベストです。プラスチック製のバケツ又はゴミ箱も良いでしょう。ふたのない容器にはきれいな布をかぶせて、汚染物質を防いでください。
- 油性マーカーを使って、ケースや缶に番号を書いてください。同じ番号を紙に書いて、フィルムの箱に書いてある情報(名前、日付、場所など)を全て写してください。こうすると後でその情報とフィルムとを整合するのに便利です。数日以上水に浸かった後だと、ケースに書いてある情報は読めなくなっているかもしれません。
- フィルムを現像所に持ち込み、3日以内に処置をしてもらってください。
詳しい情報は、「水害についてのFAQ」をご参照ください。
国立フィルム&サウンド・アーカイヴ
保存・技術サービス部主任研究員
ミック・ニューナム
オーストラリア・フィルム・コミッション
映像アーキヴィスト協会(AMIA)
運送するフィルムは記録をつけること
現像所にフィルムを送る準備かができたら、フィルムの細かい記録をきちんと取ってください。最も重要なのは、容器に入れたフィルムの情報とフィルムそのものを関連付けることです。そうなっていないと後でフィルムの内容を識別するのが難しくなります。その方法は……
- フィルムが入ったケース、缶、リール(直接容器にペンで書けないときは粘着力が長持ちするテープ)に油性ペンでID番号を振ります。またはリーダーに番号を記入します。フィルムのケースが水中でばらばらになっている場合、ID番号は現像所にフィルムを送る前にリールかリーダーに書き写しておく必要があります。
- ケース、缶に書いてある情報を全て紙に写し取ってリスト化します。日付、名前、場所などフィルムの内容に関する全ての情報です。その情報の脇にケースやリールに振った番号と同じID番号を書いてください。
- できればケースや缶の情報を手で書き写す代わりに、デジタル写真、または従来のスチル写真を撮ってください。写真には容器に振ったID番号や情報(日付、名前、場所など)を入れてください。フィルムの内容を識別するのに役立ちます。フィルム缶や箱に情報を書く場合、ペンの種類によっては水に浸かると短期間しか持ちこたえられません。このために識別システムが重要なのです。
洪水の被害を受けたビデオテープを救う
- 濡れたテープは再生しないこと。
- テープのケースや輸送用の箱は防水されていません。外側が濡れていれば、中もたいて濡れています。
- 濡れたテープの処置は一刻を争うものです。
- 水そのものよりも、水中の汚染物によって被害が大きくなることもあります。水に含まれる危険な汚染物といえば、塩分・当分・塩素・下水の汚水などがあります。
- ・酸化鉄のテープを損傷することなく寿命を延ばすには、蒸留水/冷水に入れておくことも場合によっては可能です。金属粒やメタル蒸着テープは長い間濡れたままにしておくと酸化し、破壊されてしまいます。
- 濡れたテープを冷凍乾燥することはお勧めできません。
- 濡れたテープは至急汚れを除去してください。濡れている間に修復専門家が引き受けてくれたら、最高の結果が得られます。
- テープは丁寧に扱ってください。水はマグネティック・テープの物理的構造に悪影響を及ぼし、伸びたり、裂けたり、エッジが破壊されたりします。
- 処置を施すまでの間はテープを涼しく換気のよいところに置いてください。凍らせてはいけません。
- ケースの中に入り込んだ水が広がっててしまうのを防ごうとするあまり、テープの方向を変えてはいけません。
- 濡れたテープに付いた汚染物はなるべくはやく洗い流さなければなりません。丁寧に取り扱い、蒸留水/冷水のみを使ってください。水道水は塩素を含む可能性があるので使わないでください。
- 屋内で乾かすには、冷たくて乾いた空気の中にテープをさらすのが最善ん方法です。
- 屋内で乾かすとテープが変形したりカセットの内部に粘着したりすることもあります。
- 挟まった紙やダンボールは全て取り除いて、菌が繁殖する可能性を抑えてください。
- 濡れたテープはエアクッションで少なくとも二重に包んで丈夫なケースに収納し、運送中の衝撃や露出から守ってください。
情報提供
Peter Brothers
President SPECS BROS., LLC www.specsbros.com
(翻訳・中川望)
