ボランティア・プロジェクト:タイ国立フィルム・アーカイブにて
2005-11-10 | filmpres | trackbackこのボランティア・プロジェクトは、レイ・エドモンドソン、タイ国立フィルムアーカイブ(TFA)、タイ・フィルム財団と筆者の4者によって考案されました。その目的は、タイにおけるフィルムアーキビストの養成にほかなりませんが、筆者に課されている使命は〈映像アーカイブの運営〉、〈カタロギング〉、〈フィルム・インスペクション〉、〈ガイドラインや活動ルールの策定〉など、基本的な知識の提供です。
筆者が初めてTFAを訪れたのは2004年4月のことでした。4日間の滞在期間中、TFAのためにできることがあるとしたら何だろうかと考えを巡らせました。このようなプロジェクトに携わること自体まったく初めての経験だったので、当初掲げた目標や計画にはあまりに楽観的すぎる部分もあったように思います。というのも、いざ着手してみると、筆者の能力ではとてもカバーしきれないようなことが度々起こったからです。
筆者がこの2004年の訪問時にTFAの数名のスタッフと話し合ったのは、映画保存の重要性を社会に訴える術についてでした。その話し合いの成果は、予想を上回る成果を見せていました。今やTFAは毎週末に映画上映を企画しています。様々な理由から上映に使用するメディアはフィルムではなく、DVD又はVHSコピーのみです。とはいえこの上映会の開催によってアーカイブ活動の第一歩が踏み出されたことに疑いの余地はありません。さっそく私もその上映会に参加してみました。上映作品は有名なタイのゴースト・ストーリーで、これまでに20作以上が製作されている『ナンナーク』(1999)。最新作はタイ映画史上もっとも成功した作品で、興行収入は『タイタニック』さえ超えたといいます。観客の一人は、このシリーズの名場面やポスター、パンフレットなどをスキャンして作ったVCD(アジア圏で広く普及しているビデオCDのこと)を持参していました。一般の映画ファンはそうやって映画に夢中になっているわけです。ここ1年のあいだに博物館を開館し、館内で上映会を開催するようになったTFAですが、現在抱える問題点を広く訴えるため、6月25・26日にはワークショップも開催されました。タイという国の政治状況について筆者は詳しくありませんが、一般大衆の要望が一つの組織の問題を解決する手段になるような国ではないようです。ボランティア・プロジェクトは首尾よくいっていますが、その結果TFAにどのような成功がもたらされるのか、それはまだわかりません。それを知るには再びタイを訪れ、この目で確かめるしかないのです。これは長期的視野のもと、現在も継続中のプロジェクトですから、次回の報告書には何か素晴らしい結果を記すことができるかもしれません。もっとも、報告すべきことは良いことばかりとは限らないでしょう。
著者:ブリギッタ・パウロヴィッツ
フィルムアーキビスト。2001年、L. ジェフリー・セルズニック映画保存学校(米国NY州ロチェスター)を主席で卒業。ハーゲフィルム現像所(オランダ)品質管理部スタッフ、オーストリア映画博物館アーカイヴ部門代表、ドイツ・フィルム・インスティチュート研究員を歴任。現在はフリーで活躍。AMIA、SEAPAVAA会員。80年代半ばからベルリンやパリの映画館に通いつめ、とりわけ無声映画/アジア映画を愛好する。
