映画保存 学校案内
2009/5/17 | filmpres | trackback小会がはじめて映画保存 学校案内に相当するデータをウェブ上に公開したのは、2001年秋のことでした。国内でも映像遺産の消滅に対する危機感が高まりつつある昨今ですが、残念ながら「学校」や「専門職」を巡る状況は当時からほとんど変化していません。
映画保存学、映像アーカイブ学[Moving Image/Film Archiving (and Preservation)]は、欧米では学問として成立しています。しかし、国内では学部の科目として存在するのみで、修士以上のレベルで専門的に学ぶことはできません。フィルムアーキビストを養成する学校も存在しませんし、専門職(正規雇用職員)としての需要もほとんどないのが2009年春の現状です。
小会の「設立趣意書」には、「わが国は世界有数の映画大国であるにもかかわらず、映画保存に関する社会の関心はきわめて薄く、保存活動もいまだ十分ではありません」とありますが、十分ではないからこそ、映画を保存していくための仕事は身近なところに山積しています。2001年以来、小会のボランティア・ベースの活動は繁忙を極め、息つく間もなく現在に至っています。国内での(正規雇用という条件での)就職相談には対応いたしかねますので、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。映像アーカイブ活動が専門職として成立していないことを会員が認識し、そのことを前提として開始した草の根活動であるとご理解ください。
「映画保存とは」には以下のように書かれています。
5.アーキヴィストの養成
映像アーカイヴについて学ぶことのできる教育機関となると、それほど多くはありませんが、小会が把握する限りではイタリア、フランス、オランダ、アメリカ、イギリス、オーストラリアに存在します。アメリカではニューヨーク大学、ロチェスター大学、UCLA、英国ではイースト・アングリア大学において映画保存の修士号が取得できます。
アーカイブ機関で実際に実習をおこなう一年コースとしてはアメリカのジョージ・イーストマン・ハウスにL. ジェフリー・セルズニック映画保存学校があります。2004-2005年からはロチェスター大学とのジョイント・プログラム(修士課程)も誕生しました。映画保存を学ぶ学生を対象とした奨学金制度も充実しており、毎年多くの卒業生が映像アーキビストとして巣立っています。
短期ではありますがARCHIMEDIA、FIAFサマースクールなども実績を残していますし、オーストラリアのチャールズスタート大学には、遠隔教育で視聴覚アーカイブの教育が受けられるコースもあります(Graduate Certificate in Audiovisual Archiving)。AMIAやSEAPAVAAといった映画保存関連団体や各アーカイブ機関が、初心者向けのトレーニングやシンポジウムを開催することもあります。
修士課程
イーストアングリア大学 MA Film Studies with Film Archive Option
ニューヨーク大学 NYU Moving Image Archiving & Preservation
UCLA MIAS Moving Image Archive Studies
アムステルダム大学 Universiteit van Amsterdam Preservation & Presentation of the Moving Image (Professional MA)
ほかに最新情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。
日本人ではこれまでにイースト・アングリア大学の卒業生が1名、セルズニック・スクールの卒業生が1名(FPS会員)、MIAS UCLAの卒業生が1名(FPS会員)、パリ第8大学の卒業生が2名いることを確認していますが、網羅的に把握しているわけではありません。こうした学校で学ぶ東アジア出身の学生は、圧倒的に韓国からが多くなっています。

Selznick School students 2000-2001, at AMIA conference in LA
