jump to navigation

朝日新聞2004年7月23日夕刊「休眠8ミリ映画に光」

2004/8/1 | filmpres | trackback

【朝日新聞・2004年7月23日・夕刊】

休眠8ミリ映画に光

8月14日はホームムービーの日(HMD)

家族旅行、運動会、誕生日や結婚式……様々な思い出が詰まった8ミリフィルムが、家のどこかに眠っていませんか。ビデオの普及で忘れられてしまった小さな映画に光をあてようと、映画の保存や修復に携わる人々が8月の第2土曜日を「ホームムービーの日」に定め、世界30以上の都市で一斉に上映イベントを開く。今年は8月14日がその日。名古屋市でも初めての上映会が予定され、一般から上映フィルムを募集している。  (深津純子)

「ホームムービーの日」は世界30カ国の映画保存専門家が集まる「映像アーキビスト協会」(本部・米国)の有志の発案で昨年から始まった。上映するのは地域の人々が持ち寄ったフィルム。家庭内の記録でも学園祭用の自主映画でもOK。内容や技術レベル、ジャンルは一切問わない。

どんなフィルムも歴史や記憶を後世に伝える「文化遺産」だと考え、フィルムならではの映像の魅力や保存の重要性を伝えるのが目的だ。日本からも、趣旨に賛同した映画保存研究会「スティッキーフィルムズ」のメンバーが昨年、愛知県豊橋市と福岡市で上映会を開催した。

豊橋市の上映会は、地元のジャズ喫茶に無償で会場を提供してもらい、12本を上映した。個人映像作家の秘蔵作品のほか、中日ドラゴンズの試合 風景など、ご当地色をうかがわせるものも。「あそこに映ってるのはうちの母です」「これはどこで撮ったの?」などと、フィルムの持ち主に解説してもらいながら、懐かしい光景を楽しんだ。

「『こんなフィルムでいいの?』とおっしゃる方が多かった。貴重なものだとは思っていなかったのでしょうね。私的に撮った映像にも、みんなで共有できるおもしろさはある」と「スティッキーフィルムズ」の石原香絵さん。仲間の田村郷枝さんは、「映写機が回る音を聞きながら見るのも8ミリならではの味。ビデオしか知らない若い人には逆に新鮮なのでは」と話す。

8ミリカメラは32年に米国から輸入され、戦後になって一般に普及。手軽に扱えるカートリッジ式フィルムが60年代半ばに登場すると爆発的に広がり、ピーク時の77年には年間193万台の売り上げを記録した。だが、80年代以降は家庭用ビデオに市場を奪われ、カメラも映写機も生産中止に。撮影したポジフィルムが唯一のオリジナルとなるため、上映機会も限られる。

8ミリフィルムをビデオやDVDに転換するサービスもある。石原さんらが心配するのは、複製を作ったことでフィルムがお払い箱になること。「DVDやビデオの耐久性は未知数。将来どんな映像メディアが登場するかわからない。でも、フィルムさえ残っていれば、きれいな映像をいつでも複製できます」

欧米には、地域の文化遺産として個人映画の収集に力を入れるアーカイブ(保存施設)も多い。一般から集めた古いフィルムを構成して新たな作品を生む試みも様々に行われている。

日本では文化的に貴重なもの以外は、公的機関が個人映画を受け入れる余裕がなく、各家庭まかせになっているのが現状だ。「家庭での保存や修復、複製方法、16ミリなど他のフォーマットのフィルムに関することも、出来る限り相談に応じます」と石原さん。各州で上映会が開かれる米国のように、日本でも「ホームムービーの日」が広がってほしいと期待する。

About...

映画保存協会(FPS)は、映画フィルムを文化財として保存する活動に取り組んでいるNPO=特定非営利活動法人です。

Blog Roll

Archives

Feeds