8mmフィルム・インスペクション研修
2005/9/16 | admin | trackbackFPS入会後、フィルムの扱いに興味のあるメンバー(とくに「ホームムービーの日」スタッフ)は、東京都江古田の現像所にて「8mmフィルム・インスペクション研修」を受講することができます。インスペクションとは、フィルムの状態を確認しながら検尺・補修を施す作業を指し、テレシネ前や上映の前後に必ずおこなうべき下準備です。※但し、平日の午後にスケジュール調整が可能なメンバーのみの特典です。
これまでの実施状況
| 日時 | 参加者 | 講師 |
|---|---|---|
| 2004年10月4日 13:30〜17:45 | 石原、天野 | 小川芳正氏(育映社) |
| 2005年5月24日 13:00〜 | 中川、荒井 | 小川芳正氏(育映社) |
必要なもの
育映社さん提供
- フィルム
- スプライサー
- リワインダー
- 検尺機(カウンター)
- ライトボックス
- 和ばさみ
- テープ
- フィルム・クリーナーと布巾
- カルテ
- 鉛筆
- ゴミ箱
- 卓上ライト
- 手袋
- ルーペ
手順
上記の道具が揃ったら、インスペクション・スタート!
フィルムの情報はカルテに記入する。タイトル、形状、製造メーカー、カラー/白黒の別などなど。 そして、そのフィルムに合ったリワインダーとスプライサーを用意し、ライトボックスのスイッチをON。 一対のリワインダーの間に、検尺機を置く。このとき、リワインダーと検尺機は一本のラインになるように。左のリワインダーに検査するフィルムを、右には空のリールをセットする。
フィルムはベース面を上にして作業する。もし、フィルムのリーダーが汚れていたり破損していたりしたら、スプライサーを使って新しく付け替える。新しいリーダーは育映社さんオリジナルのリーダー(育映社さんで販売しているもの)を使用。トップリーダーは、おおよそ90cm 位付ける。そのリーダーの先を右のリールにテープで貼りつける。
検尺機にフィルムをセットして、カウンターの数字を「0000」に。ゆっくりと一定のスピードで、右のリワインダーのハンドルを回す。右手で右のハンドルを回し、左手は、親指と中指でフィルムを固定する。左手の人差し指でパーフォレーションに触れて、指先の感覚を研ぎ澄ます。
指先の感覚でパーフォレーション壊れやエッジの破損、スプライスはがれなどがないかを確かめる。左のリワインダーの取っ手の重みでガクンとなると、とくに傷んでいるフィルムは簡単に切れてしまうので注意。巻き取るスピードは早すぎても遅すぎてもいけない。そして、目はひたすらフィルムを凝視。コマ焼けがないか、キズがないか、とにかく、フィルムの異常を見逃さないように。
テープ補修が必要な異常箇所を発見したら、巻き取り&検尺はそこでストップ。ここでスプライサーの出番となる。スプライサーは、穴あけパンチを頑丈にして大きくしたような感じの道具。レバーを上げると、突起が左右2カ所ずつ、計4カ所付いているので、異常箇所のある部分が中央にくるように、パーフォレーションの穴をセット。上部にある幅およそ2cm程のテープ(見た目は普通のセロハンテープのようなスプライシング・テープ)をゆっくりと接合すべき部分にあて、まずは片面をカバーする。そして、レバーを下げて「ガッチャン」!
そうすると、パーフォレーションと同じ位置にテープに穴が開く。テープはこのとき、上下とも切断されている。フィルムを手前からゆっくりとテープごとスプライサーから外し、エッジに沿ってキレイに、もう片面に向けて折り曲げる。極力エッジに沿うように折り曲げること。もし余りがあったら、和ばさみでキレイに切り取る。フィルムを切らないように、そーっと。テープでの補修のほかに、フィルムセメントによるスプライスの方法もある。
映写機でのフィルムの走行方向を考えながら、フィルムの一方はベース面を、他方はエマルジョン面を、和バサミの刃の部分を使って削り取る。
フィルムセメントのビンはふたを取るとはけが付いている。フィルムをピッタリ合わせ、端からフィルムセメントを少しつけて、指で押さえる。今度は反対側の端からやはりフィルムセメントをつけて押さえる。フィルムセメントは光が直接当たらないように、引き出しの中などに保管すること。
パーフォレーション壊れなどがあると、映写機にかけたとき走行トラブルとなるので、しっかりとチェックすること。 あと、フィルムにキズを見つけたり、補修を施したりした箇所があれば、必ずカルテの備考欄に記録すること。(例:「65ft〜78ftにキズあり」「95ftに繋ぎ補修あり」)このような情報は事細かに書き残すに越したことはない。
スプライサーの右手側には、フィルム用の小さなカッターが付いている。カッターを上げたままで作業しないよう、カッターは必ず下ろして、そこから作業をはじめること。カッターの存在、意外と忘れやすい。カッターの刃を上げたまま作業していると、ふいにカッターが下りてフィルムを切断してしまう恐れも。
フィルムには汚れが付着していたり、古いテープを取り外したあとの接着剤が残っていたりする。その場合はフィルム・クリーナー&布巾でお掃除。毛羽立ちの少ない布巾に、クリーナーをたっぷりとかける(揮発性が高いため多めに)。湿らせたら、布巾を内側に二つに折り曲げて、輪(耳側)になっている方を向こう側に、フィルムを挟む。親指で押さえながらフィルムを滑らせるようにしてクリーニング。くれぐれも布巾の繊維が残らないように。
フィルムの最後についているエンド・リーダーも要チェック。トップ・リーダーほど神経質にならなくてもいいものの、やはりきれいな方が良い。フィルムの走行に問題が発生すると判断したら、つけかえる。エンド・リーダーはおよそ60cmでOK。
こうして左から右のリールに巻き取る作業を終えたら、尺数をカルテに記入。検尺機からフィルムを外し左側にセットし、空になった元のリールを右側にセットして巻き戻す。このとき、一緒にフィルム全体をクリーニング。やはり二つ折りにした布巾の輪を向こう側にしてフィルムを挟み、左のリワインダーを回す。布巾を持った手をリワインダーに添えながら巻くのが、一定のスピードで巻くためのコツ。
リーダーまでキレイにふき取ったら、インスペクションの作業は完了。フィルムはもとより、リーダーにもホコリは付着させないこと!
感想
■講師役である小川さんの、懇切丁寧な指導により、夢中になって作業しました。印象としては、インスペクションは「お医者さん」に似ています。カルテを記入しつつ、患者(フィルム)に「どうしましたかー?」と声をかけ、修復し、元の姿に治す。ちょっとした外科手術です。なので、大変緊張します。ましてや自分の物ならともかく、人様からお預かりした大切なフィルム。修復どころか、破損などしたら大変なことです。特に、和ばさみで余計なテープを切るときは窒息しそうです。1mmにも満たないテープの余りをどうやって切る?!小川さん曰く、「とにかく落ち着いて・焦らず・ゆっくり」(セッカチで花粉症=くしゃみ回数多しの私にはまず向いていない作業でした…。)今回の研修で痛感したのは、実際にフィルムを触ることは、机上の勉学よりずっと有益だということでした。手や指の感覚は重要です。本ばかり読んでないで、やはりフィルムを触らないと…と痛感しました。(天野)
■8mmフィルムはあまりに細くて小さくて、とても扱いにくいです。つくづく、普段の映写仕事で触っている35mmは不器用な私にも扱いやすい形状なのだな、と思い知りました。それからフィルム・カッターのレバーをおろすのを毎回忘れてしまうのには我ながら呆れました。そういう変なクセを直すのが、すごく難しいのです。今回は実際にHMDで上映した作品を持ち込んで自分たちでインスペクションすることができました。来年のHMDにもこの経験を活かして、小型映画コンプレックスを克服したいものです。このような研修の場を提供してくださった育映社さん、とりわけ研修後、ぐったり疲れた様子であった講師・小川さんには、感謝の言葉もありません。ありがとうございました。(石原)
■フィルムを検尺する時も、スプライサーや和バサミを使う時も、何事にも「おおーっ」という緊張と感動が入り混じったような声をあげてしまいました。リワインダーを思いっ切り強く回してしまったりなど、粗雑な性格もあちこちに出てしまったので、とても反省しています。フィルムはとても繊細で、その上8mmはとても小さいので、優しく丁寧に扱わないといけないのだなあ、と改めて実感しました。もっと自分で練習する機会を得たいと思います。育映社さん、小川さん、本当にどうもありがとうございました。(中川)
■実際にフィルムに触ったこともなければ、フィルムについての知識がなかった私にとって、今回の研修は、前の日から心配の種でした。しかし、小川さんの丁寧で分かりやすい指導により、フィルムを触っているときには、夢中になってしまい、時間がたつのを忘れるほどでした!今回の研修では、セメント・スプライスも体験させていただき、その時には、今までに、こんなにも神経を指先に集中させたことがあっただろうか?!と思ってしまうほど、緊張しながら作業をしました。自分でセメント・スプライスしたフィルムは、今でも自分の手元にありますが、それを見る度に、今回の研修での興奮を思い出すとともに、もしこれが人のフィルムだったら・・・ということを考え、フィルムを扱うということは、神経を使うことであり慎重にしなければ、ということを改めて強く感じました。(荒井)

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