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《映画の里親》プロジェクト

2008/6/19 | filmpres | trackback

この文章は、《映画の里親》に関する小会の考えを2007年度に改めたものです。《映画の里親》について詳しく知りたい方は、はじめて物語番外編 「映画の里親」もぜひご一読ください。

市民の力で映画保存を—《映画の里親》制度

映画の里親とは?

FPSのフィルム探偵が発掘したフィルムを、劇場公開にもっともふさわしい35ミリ版に復元するのが《映画の里親》プロジェクトです。《映画の里親》という名称は海外のアーカイヴでたびたび使用されてきた《Adopt-a-Film》を和訳して取り入れました。

戦前の日本では、家庭用に小型映画のフォーマット(16ミリ・9.5ミリ)で劇映画の短縮版が販売されていました。いまだ家庭や地域に眠っているかもしれない幻の映画を発掘するために、若きフィルム探偵達は日夜努力を重ねています。

このプロジェクトでは、1本の作品の復元に必要な資金の提供者=里親を募り、そのお名前(または団体名)を復元版の冒頭にクレジットします。復元資金を抑えるため、対象作品はパブリック・ドメインの短編に限っています。復元資金はおよそ50万円とお考えください。ただし、フィルムのフォーマット、長さ、劣化状態、発注する現像所や復元技術によって、この金額は大幅に増減します。

資金提供者とFPSとは「協約書」を交わします。復元版の冒頭クレジットの記載内容は資金提供者と事前に協議しますが、最終的にはFPSが決定します。初号試写には現像所での経験のある第三者に同席をお願いし、アドバイスをいただくことがあります。また、復元したフィルムの権利はFPSに帰属し、収蔵先もFPSが決定します(湿度・温度のコントロールされた長期保存にふさわしい専門倉庫に収蔵されるよう努力します)。フィルム探偵が発掘したオリジナルに関しては、持ち主の思いを最大限に尊重して、お手元に返却する場合もあれば、アーカイヴへ寄贈する場合もあります。

FPSのメンバーは《映画の里親》プロジェクトを通じて、発掘・調査・補修・復元・上映・保存という一連の流れを経験します。映画保存を学ぶ場のない日本において、これは貴重な機会です。どれくらい資金が必要なのか、ラボではどのような作業が可能なのか/不可能なのか、無声映画の上映に必要な条件は何か、どうしたら一人でも多くの方にご覧いただいて保存の大切さを訴えることができるのか……?映画保存のために何かしたい、という情熱だけで入会した会員も、《映画の里親》を担当することで、さまざまな知識と経験を身につけています。

一般の映画ファンの方に映画保存を身近に感じていくためにも、FPSはこれからも《映画の里親》プロジェクトを続けていきます。皆さまのご支援・ご協力をお待ちしております。

《映画の里親》プロジェクトにより復元された作品

*すべての作品のDVDは映画保存資料室に所蔵しております。

第一回(2005年)

1oku_title_2.jpg『モダン怪談 100,000,000円』[松竹グラフ版]
1929年/松竹蒲田/無声/白黒/15分(16fps)
監督:斎藤寅次郎
里親:斎藤稔、斎藤昌康、斎藤厚生
復元:(株)育映社

第二回(2006年)

kaihin2.jpg『海浜の女王』[松竹グラフ版]
1927年/松竹蒲田/無声/白黒/15分(16fps)
監督:牛原虚彦
里親:財団法人鎌倉市芸術文化振興財団
復元協力:日本大学芸術学部映画学科
復元:今田長一

第三回(2007年)

makino_title.gif『学生三代記 昭和時代[マキノ・グラフ版]』
1930年/マキノ・プロダクション/無声/白黒/15分(16fps)
監督:川浪良太、滝澤英輔、久保為義
里親:東京国立近代美術館フィルムセンター、立命館大学アート・リサーチセンター マキノ・プロジェクト
復元:(株)IMAGICA

第四回(2007年)

kirigakure007.jpg『霧隠才蔵[パテベビー版]』
制作年不明/無声/白黒/3分(16fps)
里親:ソウル・チュンムロ国際映画祭(CHIFFS)
復元:(株)IMAGICAウェスト、(株)東京光音

About...

映画保存協会(FPS)は、映画フィルムを文化財として保存する活動に取り組んでいるNPO=特定非営利活動法人です。

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