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フィルムアーカイブ物語

2012-05-16 | filmpres | trackback

2009年に出版された韓国映像資料院のフィルムアーキビストによる『フィルムアーカイブ物語』の日本語版を順次掲載いたします。
翻訳・掲載を快諾してくださった著者のオー・ソンチさんに心より感謝いたします。
Sungji OH. Stories of the Film Archives. KOREAN FILM ARCHIVE, 2009.(翻訳:TL)

【更新履歴】
2012.05.16 掲載:第四章「『その顔は過去に向いている』—『根源を目指して』」(9.ブエノスアイレス会議参加記)
2012.02.23 掲載:第三章「痕跡もしくは破片を求めて」(8.映画の考古学:痕跡を求めトリノへ)
2012.02.21 掲載:第三章「痕跡もしくは破片を求めて」(7.短命映画規格の保存学的研究)
2011.12.02 掲載:第三章「痕跡もしくは破片を求めて」(6.ジグゾーパズル)
2011.11.30 掲載:第二章「映画フィルム」
2011.04.14 掲載:序文、第一章「フィルムアーカイブ小史」

まえがき

 「フィルムストーリー叢書」とは、さまざまな主題の映画、知識、情報をよりわかり易く伝えるため、韓国映像資料院が2007年から発刊しているポケットブックシリーズで、初版である《韓国映画史》を筆頭に7冊が刊行されました。そしてここに、さらに2冊をその目録に加えます。

 叢書の8冊目となる《フィルムアーカイブ物語》は、映画フィルムの魅力にはまり、フィルムアーキビストの道を歩むこととなった韓国映像資料院のプログラムチーム長、オー・ソンチ(王聖智)の経験談を通じて、フィルムアーカイブに関する豊富な知識と情報をリアルに伝えます。映画フィルムとフィルムアーカイブに関心を持つ方のために、適切な案内書となるでしょう。

 9冊目、《映画帝国 シン・フィルム —韓国映画企業化に向けた夢と挫折》[*未訳]は、韓国映画史をひっくるめて重要な映画企業の一つであった「シン・フィルム」の勃興と衰退過程を掘り下げることによって、韓国映画史における映画企業の意味と歴史を垣間見るという試みです。

 「フィルムストーリー叢書」は韓国映画、そして韓国映画史のさまざまな主題を、各著者の個性的で自由奔放な形式を込めて、ポケットブック1冊ごとに出すこととなります。これから先、叢書が漸次目録を増やしながら、まるでモザイクのような、精巧なディテール、豊富な解釈とともに韓国映画史の大きな画を完成させていく所存です。

2009年11月 韓国映像資料院 院長 イ・ビョンフン

韓国映像資料院(KOFA)紹介
 韓国映像資料院(KOFA)は貴重な文化遺産である映像資料を、国家的な次元で収集・保存する韓国唯一の機関として1974年に設立されました。
 KOFAは、私たちの映像文化遺産を最適な環境で保存・復元し、後代に永久に伝えるための基盤づくりに全力をあげ、多くの国民が映像文化を積極的に享受できるよう、1991年からシネマテーク運動を始め、今日に至ります。そのほかにも、韓国映画史の過去と現在を一目で理解できる「映画博物館」、映像資料を先端技術の環境下で便利に鑑賞できる「映画資料室」を運営しております。
 また、新たなデジタル時代を迎え、デジタル映像資料の収集、デジタル技術を利用した復元、アナログ資料等のデジタルアーカイブ化といった事業を遂行しており、映画史研究及び出版事業を通じた韓国映画研究の普及に努めています。

目次

序文
第一章 フィルムアーカイブ小史
 1.最初のフィルムアーカイブ ビッグ4
 2.国際フィルムアーカイブ連盟:FIAF
第二章 映画フィルム
 3.ナイトレート・フィルムを取り巻く様々な噂
 4.物質としての映画フィルム
 5.映画フィルムの上でちらつく何か
第三章 痕跡もしくは破片を求めて
 6.ジグソーパズル
 7.短命映画規格の保存学的研究
 8.映画の考古学:痕跡を求めトリノへ
第四章 『その顔は過去に向いている』—『根源を目指して』
 9.FIAFブエノスアイレス会議参加記
 10.ボン無声映画祭参観記
 11.パブストの1925年作『喜びなき街』復元物語
 12.幼少期に私を虜にした彼女たちとの遭遇
 13.幼い頃の映画遊びをテンプルホールで
第五章 フィルムアーキビストもしくはキーパー
 14.Old & Wise
 15.Young & Innocent
第六章 韓国映像資料院で働く
 16.フィルムアーキビストになる
 17.私の夢をポケットに詰め込んで
付録
1.用語整理
2.フィルムアーカイブ関連書籍
3.主要フィルムアーカイブ目録

序文

 誰もが恋愛をすると、聞き手ががうんざりしてしまうほど自分の好きな人のことばかり長々と話してしまいがちだ。私がフィルムアーカイブの物語をあちこちに書いたのは、フィルムアーカイブに対する私の沸き起こる思いのためである。ある哲学者が「理性は熱情の侍女である」と言ったように、人間は理性的な動物であり、理性こそ我々が堅持すべき基本だが、私を鼓舞する力は熱情であった。

 2002年9月に韓国映像資料院に就職し、9月で満7年になった。一つの職場で7年働けば、サバティカルを通して自分の成果を整理する時間が与えられるように、私も7年勤めた後、その間に積み上げた経験を整理し、何かしてみたかった。心惜しいのは、フィルムアーカイブ運動が誕生した場所も、そして私が映画保存を勉強した場所もやはり欧米であったから、アジア地域のフィルムアーカイブを殆ど語れなかったことである。日本、中国、台湾、香港、シンガポール、ベトナムの映画フィルムについて、そして韓国映像資料院について長く話をする機会があることを望むばかりである。

 私の熱情を持続的に燃え上がらせたのは、フィルムアーカイブ運動に興味津々だからでもあるが、火が消える一歩手前で、再び火を灯してくれた何人かの先生方のおかげでもある。この場を借りて、その先生方にお礼の言葉を伝えたい。遠く離れているが、朝夕心配してくださるS先生には、とくに心から感謝している。

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