はじめて物語番外編 「映画の里親」
2007/3/2 | nakagawa | trackback里親さんを求めて
F:次にすることとは?
P:ここが発見についでもっとも難しいところでしょうか。資金を募るんです。お察しの通り、お金がなくては復元はできません。アメリカには、映画を復元するための資金を提供してくれる基金(S1)がいくつか存在するのですが……
F:進んでいるんだなあ。
P:でも日本にそのような仕組みはないし、復元費用といっても、ほら、美術品や伝統工芸などであれば助成金も少しは獲得しやすいのでしょうが……
F:映画まで文化財という認識がまだないんですね。
P:残念ながら。でも巷にあふれる映画ファンからは、映画を救うために何かしたい、という心意気を感じます。そこで思いついたのが「映画の里親」という仕組みです。
F:里親?
P:そう。「モダン怪談」の場合、まずは会員がお金を出し合ってフィルムをテレシネしました。その頃、ちょうど斎藤監督の生誕100年を記念して、ラピュタ阿佐ヶ谷という映画館が特集を組んでいたので、このDVDをサプライズ上映してもらうことになり、そこで、「映画の里親」制度について……つまり一般から復元資金を募ってなんとか35mmに復元したい!という私たちの計画について発表させていただいたんです。実際に復元にいくらかかるかは、現像所に見積をお願いして、だいたいの金額を提示しました。
F:気になるその金額は?
P:当日に配った里親募集のちらしでは、50万円と書きました。

F:高いっ!祖父には申し訳ないけれど、どんなに貴重な作品が見つかっても僕にはとても出せるお金ではないなあ。でも、斎藤寅次郎監督の大ファンだったら、出してもいいと思ってくれるのでしょうか。
P:学生さんにはちょっと手の出ない金額ですよね。私たちも半信半疑でした。ところが、会場にゲストとして招かれていた監督のご子息が他のご兄弟とお金を出し合って、この幻の喜劇の復元を支えてくださることになったんです。父上の映画を、父上の生誕100年のお祝いにこの世に蘇らせるなんて!
F:とても感動的ですね!
P:でしょう?里親さんを募集するのは、例えばチラシとか、HP上での告知とか、それだけでもいいのですが、このようなイベントと発表の場が重なって本当に良かったと思います。おかげでこの発見は新聞各紙でも取り上げられました。
F:さて、里親さんが決まったらいよいよ復元ですか?
メモ
S1:全米芸術基金(NEA)や全米映画保存基金(NFPF)には全米の映像アーカイヴが応募し、毎年数えきれないほどの映画が救済されています。
