はじめて物語番外編 「映画の里親」
2007/3/2 | nakagawa | trackback発掘!「モダン怪談100,000,000円」
P:突然ですが、斎藤寅次郎監督ってご存知ですか?
F:あ、名前は聞いたことあるかも……喜劇映画の監督でしたっけ?
P:ご名答!でもね、斎藤監督の喜劇がもっとも面白かったのはサイレント時代だといわれているんです。ところが肝心の作品はほとんど残っていません。「石川五右衛門の法事」(1930)という作品が9.5mmという形状で過去に発掘されて、東京国立近代美術館フィルムセンターで復元されたときは、ちょっとした話題になったんですよ。
F:サイレント作品の発見を待ち望んでいるファンがたくさんいるってことですね。
P:その通り。
F:で、その斎藤監督がどうかしたんですか?
P:私たちが発掘し、復元したのは「モダン怪談 100,000,000円」(1929)という斎藤監督の作品です。形状は16mmで、たった15分の短縮版だけれど、どうやらこれが現存する唯一のプリントらしいのです。それを斎藤寅次郎生誕100年という記念すべき年(2005年)に合わせて、なんとか復元してみようということになりました。

F:へええ。でも、いったい何からはじめたらいいのやら……僕には見当もつきません。
P:まずはじめに、フィルムの入っている箱の外観を撮影したり、箱に書かれている情報を書き写したり……そういったことからはじめました。一見無意味な記号や走り書きでも、後で作品判別の大きなヒントになることがあるんです。日本語でぴったりくる言葉が浮かばないけれど、英語では「フィルム・インスペクション」と呼ばれる一連の作業の第一段階です。フィルムの状態を調べると同時に、本当にこれが「モダン怪談」なのかを確かめていくわけですね。
F:インスペクションって、僕にもできますか?
P:できますとも。必要な道具はここに説明してある通りです。
