朝日新聞2004年2月28日夕刊「幻の殺陣シーン、プリントを発見 山中監督、戦前の『丹下左膳』」
2004/3/1 | admin | trackback【朝日新聞2004年2月28日・夕刊】
幻の殺陣シーン、プリントを発見 山中監督、戦前の「丹下左膳」
斬新な時代劇で知られる映画監督山中貞雄(09〜38年)の代表作「丹下左膳餘話(たんげさぜんよわ)・百萬(ひゃくまん)両の壷(つぼ)」(35年製作)の“幻のアクションシーン”のプリントが発見された。大河内伝次郎演じる左膳が大立ち回りを見せる終盤の見せ場で、封切り時には上映されたが、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による映画規制の中で全94分のうち約2分間がカットされ、この部分のフィルムは現存しないと言われていた。
映像ディレクターの永野武雄さんが個人コレクターの遺品から「幻の場面」を含む16ミリプリントを発見した。トーキー作品だが音声はなく、戦前に販売された「おもちゃ映画」と呼ばれる家庭用のダイジェスト版を、このコレクターか他のコレクターが複製したらしい。脚本が現存しており、封切り時に見た人の記録もあって、失われた場面と判明した。 見つかったのは、左膳がやくざ者の一群をなで切りにして先を急ぐクライマックスの一部。約20秒と短いが、奥行きを生かした構図でスピード感あふれる殺陣を見せ、喜劇として知られていた“山中版・左膳”が活劇としても一級だったことを伝える。 映画評論家の山根貞男さんは「山中作品は26本中3本しか現存せず、その中で最も古い作品の重要な場面が見つかった意味は大きい。小津安二郎の初期作品も個人の所蔵プリントから復元した例があり、意外な作品が家庭に眠っている可能性はある」と話している。
