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映画保存はじめて物語

2007/3/2 | admin | trackback

こちらは初めて映画保存について知る人のための入門ページです。

1.登場人物

f_p_s.gifFくん 古い映画をみるのは好きだけど、映画保存についてはまったくの素人。

Pさん 古いフィルムの保存活動をしている。発掘やフィルム修復を手掛けることも。

Sちゃん 映画保存のマスコット。Pさんのアシスタントとして日々活動中。(赤字の語句を解説します)

(イラスト:Y.K.)

はじまり

今日は久しぶりに映画をみに出かけたFくん。ところが途中で道に迷ってしまいました。

しばらく路地を行ったり来たりしていると、≪映画保存協会≫と書かれた扉が目に留まります。

「映画って書いてあるから、ここでも何かやっているのかな?」Fくんは持ち前の好奇心で扉を開けました。すると・・・

:いらっしゃい!どうぞ中へお入りください。

:あのー、ここでも何か上映しているんですか?

:いやあ、上映はしていないんですけど、映画保存のことならご相談に乗りますよ。まあまあ、遠慮しないでどうぞ座って下さい。

:えっ、いや、そうじゃないんですけど・・・

勧められるままに中に入るFくん。今初めて聞いた「映画保存」という言葉に??が浮かびます。映画は大好きだけど、保存っていったい何なの?!

2.残っていない昔の映画

:どうも・・・はじめまして。あの、扉に「映画保存」って書いてあったんですけど、それって何のことですか?

:「映画保存」って聞くと、どんなイメージ持ちますか?

:えっ、うーん…急に言われると、難しいなぁ…。

:そうですよね。

:今みている映画をいつまでもみられるようにする、ってことかな?

FKUN2.gif:古い映画もたくさんみたことあります?

:はい。僕、映画が好きで、なんでもよくみに行くんですよ。だから無声映画もみたことあります。最初は会場がシーンとしているから慣れなくって大変だったけど、伴奏がついている上映もありますよね。だから結構楽しくてみに行きます。でも、そういう時代の映画って、確かあまり残ってないんですよね。

:ええ。特に日本は1923年の関東大震災や第二次世界大戦の時に、相当なくなっちゃってるんです。 昔のフィルムは燃えやすい素材を使っていた(S1)ので火災による被害もありますね。それに当時は、映画を保存しようという意識が元々なかったから、劇場で公開し終ったフィルムはそのまま捨てたりとか、スターの見せ場を1コマだけ切り離して駄菓子屋さんで売ったりとか別なものを作る原料(S2)に使ったりとか。

:へーえ、何だかひどい扱いですね…。

:だから>溝口健二や小津安二郎(S3)といった、日本を代表するような監督の作品も、特に無声映画の時代の作品は、残っていないものがたくさんあるんです。時代劇もかなり少ないですね。それに、今残っているものにもいろいろな問題があって。

:それってどんなことですか?

:昔の映画で、よく<総集編>とか、<○○版>っていうのありますよね?

:あっ、はい、みたことあります。

fragment1s.gif
:あれらは、もともと公開された時はその形ではなかったけれど、上映時間を短縮しなくちゃいけないとか、ある時代の政治的な力によって検閲されたりとか、いろいろな理由で編集しなおされて現在の形になったんです。その時にカットされたフィルムはもうなくなってしまっていることが多いんですが、例えば、それが家庭用に販売されていた玩具フィルム(S4)の中に残っていて、復元できるケースもあります。

:なるほど。その元通りの形を検証することも大事な仕事ですね。やっぱり一番最初の形が、映画を作った人たちの考えや時代の雰囲気を反映していますもんね。

:その検証をするためには、スチル写真や脚本、当時の新聞や雑誌の記事、製作に関わった方々の証言などがすごく重要な資料になります。だから映画フィルムを残すことも大事だけど、そういう資料も大切に保管しなくちゃいけないんです。

最近の発見例 『丹下左膳余話 百萬両の壷』

メモ

SCHAN4.gifS1:1950年代まで、35mmフィルムのベースにはニトロセルロース(ナイトレート)というとても燃えやすくて危険なものが使われていました。

S2:感光剤の銀粒子を取り出したり、ベース面のセルロイドを再利用した商品が実際にあったそうです。

S3:部分的でも現存が確認されている作品は、溝口健二が全本数の約1/3、小津安二郎が全本数の約2/3にとどまります。

S4:自宅で映画を楽しむために、本編を再編集したフィルムが映写機と共に発売されていました。日本特有のものとしては、劇場公開と同様の35mmフォーマットで販売された「玩具フィルム」(可燃性)があります。小型映画(不燃性)に焼き直したものも多くありました。

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映画保存協会(FPS)は、映画フィルムを文化財として保存する活動に取り組んでいるNPO=特定非営利活動法人です。

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